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人気の保険!東京海上日動あんしん生命「メディカルKit R」。支払ってきた保険料が全額戻ってくる?

      2017/10/17

医療保険は「お守り程度」?
高額療養費制度があるから、なくてもいいか…
生命保険のなかで、医療保険は人気商品の筆頭です。誰もが80歳、90歳と長生きができるようになり、病院も老人福祉施設も全国に続々建てられています。そのせいでしょうか、医療保険は「終身タイプ」が主流になってきました。それも保険料が「一生上がりません」というものに統一されつつあります。

医療保険とは「入院したら、日数分給付金が出る」「手術給付金が出る」「死亡保険金がある」の3つがセットになっています。でも「入院しなかったら、お金が出ないのなら意味がないのでは?」という人がかなり増えてきました。

入院=お金がかかる…だから医療保険が必要、という方程式は、意外にも崩れつつあります。理由は「高額療養費制度」が世間に広く浸透してきたからです。よく知られているのは、「どんなに医療費がかかっても、ひと月に83,400円を超えることはない」「月をまたいで入院しないようにすれば、83,400円以上はかからない」ということでしょう。

これらは、保険外交員の努力もあって、誰もが知るところになりました。差額ベッド代がいくらかかる、といった部分は病院ごとに変わりますが「お金がかからない」という部分は誰もが安心するところですね。このトークを使って保険外交員や保険ショップが「医療保険は要らないじゃないですか?」「その分、貯蓄できる保険にしましょう」と勧めている状況が結構あるようです。

保険料は安い?

東京海上日動あんしん生命が販売する「メディカルKit R」は払った保険料が戻って来る~というキャッチフレーズで人気商品となっており、ネットでもかなりのアクセス数となっています。ここではまず東京海上日動のサイトから、サンプル内容を拾っていきましょう。

  • 入院日額は10,000円、7,000円、5,000円から選べる。
  • 入院日額10,000円の場合、入院手術給付金は一律10万円。日帰り手術給付金は一律5万円。
  • 入院日額7,000円の場合、入院手術給付金は一律7万円。日帰り手術給付金は一律3.5万円。
  • 入院日額5,000円の場合、入院手術給付金は一律5万円。日帰り手術給付金は一律2.5万円。
  • 連続入院は60日まで。通算1,095日使える。
  • 死亡保険金はない。

以上がこの保険の骨格です。ちなみに、入院日額5,000円のケースで、30歳男性の場合の保険料は、月々2,905円。3,000円程度で毎月加入できる医療保険と考えると、お手頃感がムンムンしてきますね。これなら一日100円でひと月入院したら15万円貰えるわけですから、安い!と考える方も多いのではないでしょうか?

使わなかったら保険料全額が戻って来る?

さて、皆さんが一番気になる部分。つまり「保険を使わない=入院しない、手術しない」場合は、払った保険全額が戻ってくる部分にスポットを当ててみましょう。

  • 男性 30歳で加入
  • 入院日額5,000円
  • 一入院60日、通算1,095日使える
  • 手術給付金は、入院手術が一律5万円、日帰り手術が一律2.5万円
  • 死亡保険金は0

〇掛金は2,905円、終身払い
〇70歳で今までの保険料総額1,394,400円が全額戻る!
…ただし、受け取った入院日額、手術給付金分合計は差し引かれる

なるほど、医療保険としてはベーシックな内容になっています。そして、保険料総額が70歳で戻る…という点は非常に人気となるのはわかりますね。70歳で思わぬお金が入ってくるわけですから、これはいい!と考えるでしょう。

ただし、注意点もあることを忘れてはいけない!1入院60日で大丈夫?

イイことづくめのような「メディカルKit R」ですが、やはり保険ですからしっかりと研究していく必要があります。

1入院60日型はどうなの?

入院日数はどんどん短くなっている…というのが日本の医療事情。確かに一入院の平均は38日、などという調査結果もありますが、本当のところはどうなのでしょうか?

私たちは30代、40代、50代で医療保険に加入する場合、二か月も入院してしまったら「失職」してしまう可能性もあり、なかなか入院できない…という社会的な事情もよく知っています。ですから、ひと月入院して、あとは通院…という方が多いのが実態です。

ですが、問題は70歳過ぎの医療。よく、脳梗塞・脳卒中・急性心筋梗塞といった3大疾病の場合、30日から40日で退院するケースは良く知られていますが、問題はその後でしょう。

75歳過ぎて病院に入院する場合、実は入院日数はどんどん長くなっているのです。特に、最終的に認知症にかかってしまった場合、精神科病棟で亡くなる方のケースが激増しており、老人ホームや要介護施設でも対処できない患者さんは、必ず病院で看取られます。

その際、60日で退院ということはまずありません。3か月から半年、あるいは1年近く入院して死亡するケースが非常に増えています。問題なのは、この「メディカルKit R」が「どんな世代のための保険なのか」ということに着目してほしい、ということでしょう。

70歳で払戻金があったとしても、その後の医療費で使ってしまう場合は「前払い金」になるだけです。1,095日分の通算日数があっても、入院61日目で入院日額は受け取れなくなり、6か月(180日)経ってから、再び60日分受け取れるのです。

もちろん、この60日縛りですが「同じ病気」の場合に適合されます。61日目を過ぎて、今度は肺炎で入院しました…という場合は使えますが。

手術給付金額は少なめですが…

入院しての手術は、日額の10倍。これは意外に少ない数字です。保険会社がネットではなく対面で販売しているものならば、日額の40倍、20倍、10倍というのは常識です。つまり、1入院5,000円ならば、20万円の手術給付金、10万円の手術給付金、5万円の手術給付金が「手術表の区分け」でもらえます。つまり、手術の大きさ(具体的には、診療報酬の大きさ)によって、給付金の額が変わる、というわけです。

これに比べて、「メディカルKit R」はだいぶ少ない。おそらく、高額療養費制度で 「83,400円以上はかからない」から、手術給付金もそんなに要らないでしょう~というニーズで商品化されたものだと言えます。

死亡保険金は0

そもそも、医療保険にお葬式代は不要じゃないの?と考えて、作られたのが、この保険。他社の場合、入院日額1万円の場合は、死亡保険金が100万円、入院日額が5,000円の場合は死亡保険金が50万円…という方程式がありました。

ここを完全に取っ払ってしまったのが、「メディカルKit R」。つまり、本人が生きている間にこの死亡保険金額と、使わなかった保険部分を相殺して、保険料分を返してもらう…という制度設計にしたわけです。これは、考え方だと思います。

医療保険をどう見るか…しっかりした医療保険にして、長期医療で亡くなっても、1入院60日で切れることがなく、なくなったら死亡保険金があるので、死後の葬儀代やお仏壇、お位牌などの費用負担を遺族が多少なりとも心配しなくていい状態になる…それを望むならば「メディカルKit R」はちょっと不安でしょう。

でも、死亡保険金は要らないし、死ぬときはぽっくり死ぬから入院代金は不要…という方には、これはなかなかいい保険であることは間違いありません。

なぜ、保険料が戻ってくるの?

最後に、この質問にお答えしましょう。払いきった保険料が戻って来る、その理由はなんでしょうか?答えは「この保険を使う人がほとんどいないだろう」という保険会社の計算結果からです。掛金が安いから、多くの加入者が集まるだろう。でも、蓋を開ければ、1入院60日しかありません。手術給付金もおひとり最大10万円まで。

これは生命保険会社にとって大した額ではありません。そしてもう一つ、東京海上日動あんしん生命は、保険会社としてはまだまだ新しい会社です。つまり、保険加入者の年齢層が20代、30代、40代が中心で、70代、80代はほとんどいないため、保険金の支払いという事例が従来の会社よりも少ないのが事実です。

だからこそ、こういった大胆な発想で保険商品が可能になります。そして、もう一つ、70歳未満で解約してしまったら、払った保険料は戻りません。この保険に入った場合は、70歳まで続けることが必須なのです。70歳で払いきった保険料を受け取ったあとに、1入院が長い保険に入りなおそう…と考えたとしたら?

おそらくその後は掛金が3,000円ということはあり得ないでしょう。少なくとも1万円を下がることはまずありません。

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