運用利率が高い外貨建て個人年金保険!実はコストがかかる?
2017/10/17
皆さんこんにちは。皆さんは老後の年金について考えることはありますか。受給できる年齢がもっと後ろ倒しになるんじゃないかとか、年金の額が減るんじゃないかとか、そもそも公的年金制度の維持は難しいんじゃないかとか、どちらかと言うと悲観的に考える方も多いのではないでしょうか。
そのような中、自分の力で老後に備えていこうと、個人年金保険等の保険に加入している方は増加の傾向にあります。
老後の生活に備えるための保険は、個人年金保険のほか、終身保険や養老保険などがありますが、近年人気が上がっている商品に「外貨建て個人年金保険」があります。
今回は外貨建て個人年金保険について、その特徴と気を付けなければならないポイントについてお話します。
外貨建て個人年金保険の特徴
外貨建て個人年金保険には以下のような特徴があります。
- 保険料は米ドルや豪ドルなど、外貨で払い込む。払い込まれた保険料は、その国の国債等で運用される。
- 年金を受け取る際には、外貨を日本円に両替して受け取る。そのため、為替変動の影響を受ける。
- 年金は一時金として受け取ることもできる。
1、は外貨建てなので、保険料は日本円ではなく外国の通貨で払います。そしてその国の国債等を主な運用先として資産運用されます。
これが外貨建て個人年金保険の最大の特徴です。また、運用利率の高さも特徴のひとつです。
日本円建ての個人年金は、日本国債で運用されることが多いため運用利率は1~1.5%となっています。一方、外国の国債で運用される外貨建て個人年金保険は利率が3~4%と、円建て個人年金と比べて高めに設定されています。
この利率は経済情勢によって変動する可能性がありますが、契約時に設定された利率は保証されます。
固定利率でこれだけ高い運用利率が設定されている商品は滅多にありませんので、最近人気になっているというのも頷ける話です。
2、保険料の払い込みは外国の通貨、運用先は外国の国債ですが、年金として受け取る際は日本円で受取ります。
そのため、その時の為替相場が受け取る年金額に影響を及ぼします。仮に100米ドルを預けて、10年後に120米ドルになったと仮定します。この100米ドルの元本が10年後に120米ドルになるという利率が固定利率で保証されているというのは、①の特徴のところでも書いた通りです。
ところが年金として受け取る際には、この120米ドルを日本円に両替して受け取ることになります。100米ドルを預けた時に1米ドル=100円だったとしても、10年後受け取るときに1米ドル=100円であるとは限りません。
もしかすると1米ドル=120円になっているかもしれませんし、80円になっているかもしれません。
預けた時の金額を日本円になおすと、1米ドル=100円で100米ドル預けた分けですから、10,000円預けたということになりますよね。それが受取る時に1米ドル=120円になっていたとすると、120米ドル×120円=14,400円に増えているということになります。
では80円になっていたとするとどうなるでしょうか。120米ドル×80円=9,600円になりますので、預けた時の10,000円に比べると元本が割れてしまっています。この為替変動による受取額の変化は、メリットにもデメリットにもなり得る特徴ですね。契約時には十分注意したいポイントです。
3、年金は基本的には10年とか15年と期間を定めて受け取る形になっていますが、一時金として受け取ることもできます。
その時のご自身の財政状況に応じて、どちらで受け取るのかを選択できます。ただし一時金として受け取る場合は、分割で受け取る場合に比べて受取総額が少なくなる点に注意が必要です。
外貨建て個人年金保険のコスト
外貨建て個人年金保険は、払い込んだ保険料が全て運用にまわるわけではありません。これは他の保険でも言えることですが、保険料の一部は保険契約の締結や維持、死亡保険金の支払いに関わる費用に充てられます。
また契約した後もそれらに関わる費用が、定期的に控除されるとのことです。さらに年金受け取り開始後には、年金の維持・管理費として一定の金額が責任準備金から控除されます。
これらのコストは保険会社や商品によっても異なります。具体的には商品を検討される際に保険会社の担当者等に確認をして、どういった時にどのような費用がかかるのか確認をした方が良いでしょう。
自力で老後の資金を準備したいという人にとって、大きな力になり得る外貨建て個人年金保険ですが、為替変動リスク等のリスクがあることや、契約を維持するのに費用がかかるということを認識しておいて頂きたいと思います。
また、日本円建ての個人年金保険や、他の貯蓄性のある保険、株や投資信託等の金融商品を組み合わせて、うまくリスク分散ができるようにしておくことで、より安全で効率的な運用が可能になると思います。
豊かな老後を迎えるために、これらの商品の特性を理解した上で、自分の考えに合った商品を選択していきたいですね。